作曲家&ハーピスト 佐々木冬彦さんへのインタビュー

Q・・・作曲家でありハ−ピストでいらっしゃるわけですが、それぞれいつ頃から勉強を始めたのですか
中学生のころ音楽が好きになって自己流でピアノを弾いたり曲を書いたりし始めました。
そして高校2年生のとき東京芸大の作曲科を志して本格的に作曲の勉強を始めました。
ハープを始めたのは芸大の4年生のときです。副科初級というクラスで初めてハープに触ったのが
人生の変わり目でした。素晴らしい先生=音楽家に出会ったんですね。それで今日の自分があります。


Q・・・作曲される曲はハ−プの為の曲が多いですか
そうですね、ハープの曲はいくつかありますがアレンジの方がずっと多いかな。
教会でオルガンを弾いているので、曲としてはオルガンの作品の方が多いかも知れませんね。
映像とか環境音楽の仕事ではオーケストラやストリングスを良く使います。
箜篌を弾いているお陰で、雅楽や古代楽器の方たちとお仕事をすることも多く、
そういう楽器も結構使ったりしています。


Q・・・ハ−プについて伺います。重さは?.運搬が大変そうですが、苦労話などありますか
40kgほどです。自分で車に積んで運ぶのはもう慣れましたが、たとえば北海道とか九州とか、
海外とかは現地でハープをレンタルするので、借りた楽器のサイズが体に合わなかったり
楽器や弦の状態がひどかったりするとすごいストレスになります。

Q・・・箜篌は、依頼されて演奏されるようになったのですか。箜篌の演奏者というのはあまり聞いたことが
    ありませんが、日本では何人くらいいらっしゃるのですか。
箜篌を復元した国立劇場からの依頼で弾き始めました。現在箜篌の演奏をしているのは
僕を含めて4人くらいでしょうか。国立劇場に箜篌の貸し出し表があるのですが、
それを見ると使用しているのはほとんど僕と、僕のハープの師匠の篠崎史子先生の2人ですね。

Q・・・箜篌という楽器、またその魅力について、簡単におねがいします。
箜篌は古代メソポタミヤ・アッシリア・ペルシャあたりの起源の楽器でシルクロードを通って
奈良時代に日本に伝来しました。平安初期までは演奏されていたようですが、その後雅楽が
成立する過程で絃楽器としては筝や琵琶に負けてしまい、使われなくなってしまいました。
その後約1300年間、奈良の正倉院で眠っていたものを1983年に国立劇場が復元して甦りました。
調絃も演奏も非常に難しく不便な楽器なので筝に座を奪われてしまったのはわかりますが、
とても不思議で超俗的な響きがします。そしてまた形が美しい。古代中国の形而上学では、
筝は地の龍を、箜篌が天の鳳凰を表したそうです。


Q・・・以前に2回ヴァイオリンとのデュオでご一緒しましたが、如何でしたか。      
いろんなヴァイオリニストと共演していますが、大抵イタリア系の音だったり、ドイツ-オーストリア系、
あるいはアメリカンな音を出す人たちです。でも硲さんはそういう人たちとはちょっと違う柔らかい
音ですね。粘らずにさらさらとしたビート感で、そこがきっとジャズの方たちに重宝がられているのでしょう。
実は僕はまだ硲さんのジャズを聞いた事がないので、一度聴いてみたいです


Q・・・ジャズも聴かれる、と伺いましたが?
すいません、最近はあんまり・・・・。 20代のころは1950年代から70年代にかけてアメリカで
ジャズがぐいぐいと変革していくあたりをわくわくして聴いていました。
(同じことが同時期の現代音楽にも言えますね。)

Q・・今後の活動についてお聞かせ下さい。
ハープではライヴやチャペル・コンサートを来年も全国各地40〜50か所ほどでやりそうです。
オーケストラやアンサンブルの仕事もいろいろ入るでしょう。箜篌では、決まっているところでは
1月24日パリの日仏文化会館で、2月15日にサントリーホールで「千年の響き」というコンサートがあります。
作曲では、春に北九州市の門司港にオープンする「海峡ドラマ・ミュージアム」の立体音響ファンタジー映画
「時空の旅」(石井聰互監督)の音楽を古代楽器と雅楽楽器とオーケストラで作曲しました。
今はツアーの合間にその編集&ミックス中です。



インタビュアー 硲 美穂子(2002年12月)


 作曲家&ハーピスト 佐々木冬彦さん

 クラシックハープ奏者として、全国各地への
 コンサートツアー活動もしています。
 あたたかく深い音楽が素敵です。
 ナイスガイです!
 




佐々木冬彦さんのホームページへ
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~fuyuhiko